動力を自給自足 離島発の電動バイク

長崎県の離島、平戸島で誕生した『Eサイクル』は、電気で動く原動機付自転車だ。市販の自転車にリチウムイオン蓄電池とモーターを搭載し、蓄電池にためた電力をモーターへ供給して車輪を回転させる仕組みである。電池残量がなくても、一般の自転車として使用可能だ。

Eサイクルを開発したのは、長崎県平戸市に本拠を構えるイソラの有安勝也社長。有安社長は、平戸島で自動車整備工場を営む傍ら、2011年にEサイクルを開発。現在ほぼ1人でEサイクルを年間50台製造している。

有安社長は「自分用に電気で走る乗り物を簡単につくりたいと考え、自転車と電動バイクを合体させたEサイクルを開発した」と経緯を語る。

蓄電池の容量は約1kWhで、満充電すれば一般道を100㎞走行できるという。最高速度は40㎞/hだ。乗車には原動機付自転車の免許証が必要である。

有安社長は、「現在の販売台数は約200台。顧客は北海道から沖縄までいる」と話す。価格は税抜き19万9000円。「最初のモデルは、折り畳みはできなかったが、出かける際に持ち運べるように折り畳める仕様にした」(有安社長)。太陽光パネルによる発電電力を蓄電池にためて使えば、燃料代はかからず、動力の自給自足が可能になる。

有安社長は、最後にEサイクルへの思いをこう語った。
「離島はガソリン代が高いうえ、島内で生活に必要なものはなかなか揃わず、頻繁に移動が必要になる。そんな離島の移動手段として使ってほしい。ガソリン車は燃料を自らつくり出すことはできないが、Eサイクルは太陽光発電設備を活用することによって手軽に燃料をつくり出せる。販売数を伸ばすのではなく、愛してもらえる製品を長くつくり続けたい」。

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